企業に広報担当がいるように、自治体にも広報担当者がいます。しかし、自治体の広報担当者というのは、クリエイティブ関連の仕事に関しては専門外であり、「よくわからない」というのが本音のようです。
その結果、自治体発信の広報活動は注目されにくく、周知力、集客力が発揮されないという結果に陥ってしまいます。
東京デザイン星組の代表、アートディレクターとして活躍する小林は、このような自治体の広報活動にも携わってきた実績があります。
今回は、過去にどのような自治体の広報活動の中で
「実際にどのようなサポートを行ってきたのか」
「現場に触れていたからこそわかる広報担当者の悩み」
について紹介していきます。
自治体の広報活動とは?
自治体の広報活動の軸は、市報や区報など、新聞のようなものが主です。
市報や区報に掲載されるのは、自治体の取り組みや健康に関する内容、イベント情報など多岐にわたります。その他にも、起業塾のようなものを開催するときなど、集客のために頼る媒体としても市報や区報が使われます。
自治体広報担当者の悩み
自治体の広報担当者の多くは、クリエイティブやPR活動、プロモーションについて経験してきた人材は非常に少なく、多くのケースで専門外の人が担当しています。
つまり、方法や手段がわからないまま業務をこなさなければならず、判断の基準を持たずに仕事をしてしまっているのが現状です。
実際に、新聞や告知用チラシのデザイン案が見様見真似になってしまったり、過去の資料を上塗りするだけのデザインになってしまったり…というケースも多く見てきました。
しかし、効果のない広告を使いまわしても、残念ながら効果が出る可能性は非常に低いでしょう。
「集客ができないから改善してくれ!」と上司から指示が出たとしても、対応が難しい上に、相談できる人も周りにいない状況なので、自治体の広報担当者はデザインなどに関して100%困っているといっても過言ではありません。(ここを救いたい!)
さらに、予算も決して潤沢ではないので、印刷についても困ります。
よく見かけるのはコピー機で印刷しているケースです。
効果の期待できる良い物を作りたくても「作り方がわからない」「予算の関係で良いものが作れない」といった悩みは、どこの自治体でも同じような悩みを持っているのではないでしょうか。
自治体の広報担当者が外部アドバイザーを付けにくい理由と、小林が関わったきっかけ。
自治体の広報担当者も、当然外部のアドバイザーを付けたいと考えている人もいます。しかし、仮に外部に依頼した場合、多額の費用がかかってしまうといった問題があるのです。
自治体では、前年に予算を組まなければいけないため、一つずつ外部に依頼することはできません。そのため、市役所などの担当者が大手デザイン事務所に依頼するということは、まず難しいのです。
そこで自治体にとって重要になるのが、市役所のブレインのような立場のクリエイターを味方つけること。たとえば、ちょっとしたデザインの相談などができるクリエイターが身近にいれば、自治体の広報担当者も気軽に相談できるようになります。
まさに小林がそのような存在でした。
小林は中小機構のアドバイザーを長年務めているため、「この部分ついて教えてほしい」など、気軽な相談ができる存在だったのです。
このようなクリエイターが一人でも身近にいると、相談が殺到する傾向にあります。つまり、自治体の広報担当者は、本当はみんな相談したいのです。しかし、相談できる人や依頼できる人が身近にいないと、デザインについてわからないまま、自分達で試行錯誤するしかなく、結果を出すのは難しい状況になっているというのが現状です。
自治体広報の成功例!全国の農業委員に影響を与えた「農の人」
弊社小林は、東大和市の産業振興課に長く関わらせていただいています。
農業委員会の委員としても大きく広報的な役割を担っています。
農業委員会というのは、全国市町村の畑が多い地域であれば、必ずある委員会です。
農業委員会の活動のひとつとして、農地は勝手に売買してはいけないという決まりがあるため、農地の所有者や相続人が売買する際には、農業委員会の許可が必要になってきます。
このような活動をするため、元々は農家の方々から選出される委員会でした。しかし、数年前に改正があり、農地を持っていない人でも選出される「中立委員」ができ、その一人として小林が現在も活動しています。
主に広報活動が多く、これまで農業委員会が農家の方々向けに発信していた「農業委員会だより」というものを大きく改革していく動きがあります。東大和市の特徴の都市型農業をより市民向けに、市民に理解を得ていくこと、そして巻き込んで活動していきたいという動きに合わせ、小林はプロモーション活動として「農の人」という新聞づくりを提案しました。
自治体広報の成功例!東大和市「農の人」による大きな変化
農家の方々向けの「農業委員会だより」というものは全国的に各市町村で発行しておりますが、東大和市の「農の人」は、市民向けという大きく違いがあるのが特徴です。
通常の「農業委員会だより」で発信している内容は、ターゲットが農家の方々です。
農地の改正や税金に関する内容がなど、一般向けではない内容であることが多いです。
しかし、東大和市では、市民への農業への理解を深めていただき、興味関心を持ってもらうため、市民向けの「農の人」を企画しました。
市民向けに注力したいという産業振興課の想い。
なぜ市民に向けた広報なのでしょうか。そこには深い理由があります。
都市型農業には、多くの課題があります。
たとえば、住宅に囲まれた農地では
・「早朝のトラクターの音がうるさい」
・「砂埃が迷惑」
などの苦情が、どうしても入ってきてしまいます。
こういった問題を解決するために、「広報」という手段を使って市民の理解を獲得していくことは、農家の方々の仕事のしやすさに直結するのです。
自治体広報の成功例!「農の人」が与えた自治体への影響
東大和市の産業振興課農政係と、小林が生み出した「農の人」は、全国の農業委員会に大きな影響を与えました。
現在では、農の人はアーカイブとしてインターネット状でも閲覧できる媒体になっています。
https://www.city.higashiyamato.lg.jp/index.cfm/31,39146,329,534,html
さらに、大きな実績として、全国農業会議所・全国農業新聞主催、第25回「農業委員会だより」全国コンクールにて「農の人」が東京代表として参加、全国農業新聞賞入賞となりました。
その影響から、小林は市役所や区役所の担当者や農業に関する様々な有識人などが参加する「全国農業会議」主催の新聞などの作り方会議でも制作物の内容についてのご報告として登壇させていただきました。
自治体広報の成功例!「農の人」が与えた市民への影響
農業委員会だより「農の人」による市民への告知効果としては、体験農園や農業、キャンプブームの影響もあり、どこの農地でも大盛況となるなど、農業ブームに便乗し効果も上がったと思います。
体験農園などでは、一般の方が自分達で野菜を作るなどの土に触れたりするような農作業ができます。
実際に農家の方々が指導をしながら行えるサービスで、現在も収穫体験などはブームになっています。
イベントの参加募集を募ると、10分ほどで満員になりました、などのお話も聞こえてきています。イベントの集客においては、瞬発的に効果が出たわけではなく「農の人」などの告知をやり続けた結果と言えます。
一般の人が知りえない情報やイベントを取材し発信してきた結果として、現在の人気に繋がっているのです。
「農の人」を読みたいのだけれど、どこにありますか?など、印刷物が不足し手に入らないという声もあります。
通常であれば公民館などで手に入るものですが、現在では人気の読み物として「農の人」が手に入らない状態です。そのため、Web上でバックナンバーとしての掲載も行っています。
広報活動支援、成功例
これまで弊社小林は、自治体、そして中小機構、東京都チャレンジ農業支援などでの活動として、様々な広報支援を行ってきました。
その中から、とくに大きなものとして、3つのサービスについてお話していきます。
自治体と連携!公民館での講座の開催、登壇
多くの市民が、テニスサークルやお茶、英会話などのように様々なサークル活動を行なっています。しかし、サークルのなかで必ずと言ってよいほど悩まれているのが、メンバーの募集などの集客です。
・「サークルメンバーを募りたいけど集まらない」
・「自分達でメンバー募集のポスターを作りたいけど作り方がわからない」
などのように悩んでいます。
そこで「集客チラシの作り方講座をやってほしい」と小林に依頼があり、講座を開催させていただきました。パソコンを使わない手作りの講座であったため、若い人から高齢者まで幅広い年齢層の方、なかには印刷会社やサラリーマンの方などデザイン分野の方が参加され、大盛況となりました。
ルバーブジャムのパッケージデザインの成功例
東京都チャレンジ農業支援での支援活動です。
過去に日野市の女性農業者の会「みちくさ会」のブランディングに携わりました。特産品ルバーブを使用したジャムを製造していたものの、プロモーションが弱く、販路拡大ができずにいたところ、小林に相談がきたのです。
2年間にわたりブランディングに携わらせていただいた結果、ラベルもリニューアルされ、見た目も流通も大きく改善されました。さらに、2022年現在では、有楽町にある交通会館内のアンテナショップでの販売も行われました。
小林のようなクリエイティブな立場の人間がブランディングをサポートした結果、農業に携わっている方たちが、商品に自信を持ち、前向きに動き出した事例と言えます。農業に関わる”女性”が活躍しはじめ、全国農業新聞にも記事が掲載されました。
自治体広報活動支援でできること
自治体広報のアドバイザーとして関わらせていただくことは大いに可能です。
広報、プロモーション活動のお困りごとがあれば、クリエイティブ業界で経験と実績のある小林が支援、判断などのためのアドバイスを提供します。
特に年間プロジェクトの計画時など。
外部業者の金額が相場と比較して適正か、
長期的に時間を掛けて育てていくプロジェクトか、などを、
小林の経験に基づいてアドバイスできます。
また、自治体広報担当者向けの研修や講義の開催。
自治体の広報担当者の多くは同じことで悩んでいるため、研修や講義として開催すると、一度に多数の悩みを解消できる可能性があります。
こういったサポートは、都や県で動いている場合もありますが、都や県では”現場”である市町村の悩みを詳細まで把握できていないことが多いため、課題解決になかなか結びつかない傾向があるのです。
その点、小林はこれまで自分の目で見てきた現場での経験を通し、市町村の悩みを理解した上できめ細やかなサポートの提供、企画が可能です。
自治体の広報活動を活性化しましょう!
自治体広報のサポートは、ただデザインやブランディングについて理解しているだけでは行えません。自治体の広報が「何のどんな部分で悩んでいるのか」「なぜ解決できないのか」など、自治体の仕組みなども理解していなければ、サポートは難しいのです。
弊社の小林は、実際に農業委員としても活動しているからこそ、自治体のサポートができます。
ぜひ自治体の活動のなかでお困りごとがありましたら、一度お気軽にご相談ください。