商品を開発する際に、肝となるのがパッケージデザインではないでしょうか。
パッケージデザインは商品をよりよく見せるためにも重要な部分です。
しかし、多くの人はパッケージデザインをいわゆる「デザイン」のみで考えてしまいがちです。私たちは、商品パッケージデザインについて販売の根本から考えていきます。
実際にどのように携わっていくのか、これから商品を開発する企業やパッケージデザインを依頼しようと考えている企業は、ぜひ一つの考え方としてご覧いただけたら幸いです。
「商品パッケージデザイン」は多種多様
いわゆる「商品パッケージ」と聞くと、多くの人は「梱包されている物」をイメージするかもしれません。しかし、パッケージとは、一つにくくれるものではなく、多種多様です。
たとえば、採れたての新鮮な野菜販売の場合は、容器自体はサイズなどが決まっているクリアなケースを使用する場合がほとんどなので、弊社でデザインする要素は、「ラベルデザイン」などになります。
ただし「ラベルデザイン」も商品パッケージの一つ。
その他にも、箱にするのか吊って売るのかによっても、何をデザインする必要があるのか、その要素が変わってくるのです。昨今では、インターネットで商品を購入する人が増え、パッケージよりも商品そのものをメインの写真にしているケースが多いので、シールやラベルデザインにこだわることが主流になっています。
商品パッケージデザインの需要と重要性
昨今では、ユーザーニーズの変化により、ペットボトルのお茶や水のラベルがない商品が人気を集めています。
利用シーンが時代とともに変わり、目立てば売れるという状況ではなくなっているのです。
ただし、パッケージデザインの需要が全くないわけではありません。
中身が同じでパッケージデザインがお洒落に変化している、そんな商品のみを扱うECサイトが人気であるなど、パッケージの需要も確実にあると言えるでしょう。
アートディレクター目線の「商品パッケージデザイン」の考え方
商品のパッケージデザインは非常に奥が深い分野です。ただ「見た目」を考えるだけがデザインではありません。弊社では、デザインを考える以前にまず以下のポイントをヒアリングしていきます。
- BtoB(企業)に向けた商品なのか、BtoC(個人)向けなのか
- 販売の仕方
- 発送方法
- 商品を使うシーン
実際にどのように考えていくのか、以下で解説します。
BtoB(企業)に向けた商品なのか、BtoC(個人)向けなのか
パッケージデザインに対する考え方は、BtoBかBtoCかでも変わってきます。
BtoBであれば購入するのは企業で、「見た目」としてのデザイン以上に保存方法や商品の重なり方、どのようなデザインなら一回で多くの数量を送れるかなどを考えてデザインしていきます。
BtoCの場合は、販売方法、戦略を重視して考えなければなりません。
お茶のパッケージを作る際には、葉っぱだけが入った商品と、1回分ずつパックになった状態の商品とが考えられますが、ターゲットの家庭には急須があるのか?どのようなシーンで使うのか?などペルソナのの深層心理をあぶり出していきます。
企業の売り方から考える商品パッケージデザイン
業務用スーパーの食材をイメージしてみてください。
業務用スーパーの食材は、綺麗でお洒落というイメージのパッケージではありません。しかし、販売方法として、重ねたり並べられたりしやすいような商品パッケージのデザインになっています。
反対にデパートのようなお店で、お洒落に売りたいような場合のキーワードは、「綺麗」だったり「かわいい」だったり、「高級感」などをイメージしてデザインを考えていきます。
この点については、メーカーのビジョンや、市場で狙っていくポジション(業界の中でも、顧客にどのような企業であると認識されたいのか)をどれだけ明確にできているかで、その進む道は全くことなってくるでしょう。
お客様に発送する上での商品パッケージデザイン
商品の発送方法とパッケージデザインは切っても切れない関係です。
発送の仕方によっては外箱や緩衝材のことも考慮する必要があります。言われてみれば!と気が付くかもしれませんが緩衝材の有無も商品パッケージの担当者が考えなければならないことなのです。
また、お茶であれば飲み方や効能が書かれた冊子や、パンフレットのようなものを添える可能性もあります。それによって商品パッケージの形状も変化します。
保管する上での商品パッケージデザイン
冷凍保存する商品は、ラベルひとつを取っても使用する素材を考えなければいけません。
シールなどのような小さなものであっても、冷凍保存の場合では、シールの糊が冷凍仕様であったり、水に多く触れるものでは、湿気に強いもの、そうでないものがあります。「シールだから貼れればいい」だけで考えてしまうと、色がにじんだりシールがグチャっとなってしまったり、すぐ剥がれてしまったりと、結果的に使えないものができてしまい「余分なコスト」とがかかることになります。
長く使えるものを制作するには一度、素材のサンプルを様々な仕様で取り寄せた上で決めていきます。
そして店頭販売か、ネット販売なのかなどについても方向性が変わってきます。
店舗販売であれば、陳列棚にひっかけるのか、縦に並べるのか、重ねて陳列するのかなど、考えることはさまざまあります。
デザインコンサルは注意が必要
中小企業の場合は、マーケティングを「○○コンサルタント」に相談するケースが多いです。
ここでのよく起こることの問題点として、デザイナーが途中から相談に入り、そこからニュアンスが変わってしまうケースです。
コンサルが入っているときは方向性がまとまったように見えても、それ以降の作り手との伝達が上手くいかずに見当違いのデザインが上がってきてしまうことがあります。
このような原因となるのは、デザイナーが話し合いの途中から、あるいは最後に入ってくることが考えられます。
当初から話に加わっていないデザイナーからすれば、話の一部のみを理解してデザインする形になってしまうので、すべてを理解するのに非常に苦労します。
またきちんとヒアリングするには、マーケティングを理解している人もしくは、ディレクションスキルに長けた人でなければ厳しいですし、会議で出た「企画」、それが落とし込まれた「アイディア」を理想の形にしていくのは難しいでしょう。
デザインは、デザイナーの「作品作り」ではない
また多くの場合、よく目にするのは、デザイナーが自分の作品作りのような形でデザインしてしまうケースです。これは経験値の少ないデザイナーが陥りやすい間違いで、最近はクライアント側も、簡単に安く依頼できる、経験の少ないデザイナーへ発注できるシステムが使用されていることが多くなってきていて、そのような安いクラウドサービスに発注すると失敗するケースの報告がいくつも存在します。
問題は、どこまでヒアリング能力があって、汲み取る力があるか。また、それを形にできるか。
そして先述したようにどこまで事業やマーケティングについて考えてくれるデザイナーと仕事ができるかということです。
さらに言えば、コンセプトや企画の詳細、なぜこの商品を作る必要があるのか、込められた想いも含めて発注主がどこまでアウトプットできるかが成功のカギを握っています。
こうしたことを、代わりに進行してくれるのが
「アートディレクター」
というプロフェッショナルな存在です。
商品パッケージデザインのプロジェクトについて、責任を持って
「最初から最後まで関わってくれる強い味方」
とも言えるでしょう。
アートディレクター小林の商品パッケージデザイン事例
過去に小林が手掛けたパッケージデザインの事例を紹介します。
- お菓子
- ジャム
- ヘッドフォン
- 漢方茶
- マスク
- 付録(ベネッセ こどもチャレンジ)
- キーホルダー
- 野菜販売用プラケース
- ノベルティデザイン(ペン・手ぬぐい・携帯用除菌ケース)
- ファイルケース
- ギフトに伴うもの(手提げ・リボン・シール・緩衝材・包装紙など)
- パッケージに使用するなど場合のテキスタイルデザイン
- 手作り人形ケース
など。
上記のなかから、最近増えているECサイトでのパッケージデザインの例を解説します。
漢方茶のパッケージデザイン概要
エステサロンを経営するお客様が手掛けた、漢方茶の商品パッケージです。
主にラベルのデザインを行い、ネット販売用の画像加工も行いました。
ネット販売用の画像加工というのは、「ラベルを貼った形の商品画像の作成」です。
はじめは小規模に展開したいという希望で、且つお茶の種類が何種類もあるため、いきなりすべてのラベルを印刷してしまうのはリスクがあります。
そのため、まずは印刷には出さず、ECサイトでの商品画像の展開で、売れ行きを見てから検討していく。
このような例は、クラウドファンディングにも応用できます。クラウドファンディングの場合は、実際の商品がまだ出来上がっていないケースもあるので、できあがったパッケージの画像のみの提供も行います。
最終的なパッケージは、売れるとわかった時点で印刷します。
漢方茶パッケージデザイン完成までの道のり
漢方茶のパッケージデザインでは、一つ一つの商品に対してキャッチコピーコピー(効能などが伝わるもの)を全部洗い出しました。
また、種類が多岐に渡るため、それぞれの効能を表す「色」を決めます。
日常ではあまり意識しないかもしれませんが、わかりやすいところでは入浴剤なども種類によって色を変えています。体を温める作用が優れたものであれば赤系、夏の湯上がりに涼しいものでは青系など。
また、それぞれのお茶の種類には「温」などの一文字が大きく書かれていますが、これらはまさに効能をひと目で分かるよう、商品一覧に並んだ際の視認性を考えたものです。
アートディレクター目線の商品パッケージデザイン必須項目
弊社が考える商品パッケージデザインの必須項目は以下の点です。
- 商品販売の最初から最後までを考え尽くす
- お客様の頭の中を知り尽くす
ただデザインを作るだけでは、商品パッケージデザインとは言えません。
アートディレクターの存在する意味
デザインはデザイナーがつくるのに、なぜアートディレクターという存在にニーズがあるのでしょうか。
アートディレクターは、企業側の伝えたい内容を汲み取り明確にしていく。販売戦略から携わる人間です。
ここを担う存在が社内あるいは社外にいるか。
適切なプロセスを通ってターゲティングや戦略づくりをしなければ、一つ一つが闇夜の鉄砲です。
そのために、アートディレクターは、外部から関わるスタッフの中では誰よりも企業のことを理解しているのです。
そして、担当デザイナーを選ぶ際にも、「その雰囲気が得意なデザイナー」がアートディレクターの豊富な人脈のなかにいるはずです。そのような人脈は共に仕事を手掛け、プロジェクトに関わる中で築いてきたもので、信頼関係がありコミュニケーションもスムーズ。
よりニーズに合った、優れたデザイナーをアサインするでしょう。
本来の商品パッケージデザインは、とても奥深いものであることがおわかりいただけたでしょうか。
見た目だけではない、企業の求める「結果」を生み出すためにデザインするのです。
今回ご紹介したように、
「最初から最後までプロジェクトを進行してくれる専門家が欲しい」
「戦略から考えてほしい」
「商品パッケージデザインをどこに発注すべきか困っている」
という方は、まずはお気軽にご相談ください。